2011
C プリント
サイズ可変
C-print
variable size
会場となった京町家の空間は、庭まで続く「通り庭」と呼ばれる土間や庭から一段高い位置に作られた座敷とが透明なガラス戸によって仕切られていた。通り庭は、幅が狭く奥行きが長い特徴を持つ京町屋で、風や光を奥の空間にまで取り入れるために生まれた屋内だが半外部のような空間だ。
一段高い座敷から、ガラス戸を介した向こう側の人たちの会話は聞こえない。時折まるで彼らから覗き込まれ観察されているかのように感じた。内と外に別々の時間が存在するような感覚があった。
外の時間は、庭に植えられた植物たちとともに刻々と変化していく。その時間の流れを内に持ち込み、空間を埋めようと思った。
夜、内側となった風景は囲まれたガラス戸に映り込み、外へと拡張していった。